オリンピックまであと100日。ボラ、本当は続けたかったけれど

東京オリンピックの開催まであと100日。とても、とても残念で惜しい気持ちはあるし、後ろ髪引かれる思いもありますが、オリパラのボランティアを辞退しました。

理由は、気持ちが追いつけなくなったから。離れてしまったから。(恋人との別れ話みたいですが。)

私に充てがわれていたのは「フィールドキャスト」の言語ボランティアで、ボラチームのリーダー業務も含むもの。静岡会場で開催されるオリンピックの自転車ロード、MTB、トラックおよびパラリンピックのトラックが担当でした。どれも大好きな、第一希望だった自転車競技たち。

2019年春先の都内での面接を経てボラ合格が決まった時はもちろん世の中がこんな事態になるとは誰も夢にも思っておらず、純粋に嬉しかったです。グループ研修、ユニフォーム採寸に始まり、2020年冬の都内での合同研修に参加してきました。

コロナ禍になってからも、「どうなるかわからないけれど、それでも最後まで見届けよう」と自分に言い聞かせ、オンラインでの逐次通訳研修、リーダー研修、e-learning学習など都度、委員会からの要請に応じてさまざま参加してきました。時に、テーマパークのキャストみたいな高めのテンションでオンライン研修をファシリテートしてくれるスタッフの方を見ていても「この人たちも仕事だからやっているけれど、個人としては葛藤もあるんだろうな・・・」とちょっと不憫に思いながらも。

そこに来て、昨日の岡山・北海道・広島に緊急事態宣言を出す際の国の記者会見。五輪開催の可否を詳しく問う記者たちに対し、菅首相は「安心・安全なオリンピックの開催を目指します」のコピペ文言を繰り返すばかり。

「これって誰にとって安心、安全なの?それが知りたいんだよ」

金曜の夜、祖母と夕食と取りながらNHKの中継に向かって思わず口から出ました。国内外の選手・メディア・委員会関係者の偉い人たちなど関係者が何百、何千人といる中で、私たち「ボラ=一般市民」の優先順位など目に見えています。選手は「バブル(泡)」で守られるかもしれない。けれど、ワクチンの接種の目処も立たぬ中で、ボラは委員会から支給される(予定)の公式布マスク2枚を持って「安心・安全!」と胸を張っていけるのだろうか。高齢の祖母と暮らす大阪から、遠方の会場に向かい一仕事して、感染リスクが何もなかったように笑顔で帰れるのだろうか。頭の中がハテナマークでいっぱいになりました。

情勢を鑑み、辞退が相次ぐボランティア。その不足分を委員会が大手人材会社経由で「アルバイト」として募集している、という週刊誌のニュースも気持ちが乖離した要因の一つでした。半信半疑で「自分の担当会場名+アルバイト募集」で検索するとすぐにトップでヒットしました。厳密にはボラと同じ業務内容ではなかったとはいえ、「私は仕事を調整し、数万円の交通費と宿泊費を自己負担し、遠征のリスクと熱中症と闘って...そこまでして一体何を得たいんだろうか。」自問自答せざるを得なくなりました。

2017−2018年のオーストラリア留学中には、現地の大学でオリパラのレガシーについて学び、現地で合宿・遠征中だった日本代表選手たちにインタビューをさせてもらい、それを日本向けの記事にしたりと、私自身、心底楽しみにしていました。個人的にも知人・友人である彼らを応援したい、自分の得意な言語を生かして、同じ空間でその瞬間を味わいサポートしたい、その気持ちに変わりはありません。私だけでなく、多くのボランティアたちがそんな真っ直ぐな思いから志願したはず。それが、コロナそのものはもちろん、それに伴う国の対応・方針・スタンスにどんどん気持ちが荒み、離れていってしまう・・・。それはとても寂しいことだと感じます。

オリパラをそれでもやってほしいとも、やめて、とも言えません。開催には倫理的・医療的リスクが、中止には経済的リスクが伴い、各社の新聞の論調が分かれるのももっともだと思います。ただ、自粛に伴うみんなの不平・不満の一つの吐口の矛先のように「中止」に署名が集まり、選手にまで「中止の声をあげて」と言ってしまう事態になっている。「祝祭・祭典」としてのオリパラ開催の意義がほとんど失われてしまった中で「それでも」やるなら、自己負担でリスクを冒して貢献する殊勝なボラからのやりがい搾取をやめて、割り切った「商業イベント」としてアルバイト募集をしたらいいじゃないのかなぁと、他人事のように思ったりします。そして、辞退したけれども想いはある元ボラたちが選手を応援する方法はきっと他にもあるはず。

決意を固めて、ボラのマイページから「辞退」ボタンを押しました。そしたらなんと、「辞退をとりやめ、参加します!」コマンドが出現して面くらいました。3月末までは一度辞退すると戻れないからよく考えて辞退するように!ってメールで喚起されていたのに・・・。

もやもやした気持ちを察するかのように、週間天気予報には雨雲マークが並び、梅雨がやってきます。梅雨明けとともに、私たちは一体どんな夏を迎えることになるのでしょうか。

Stay safe, and be honest to your heart.

Ayaka