「溜」の2018年-想いの種を持ち続けること

2018年が終わろうとしています。皆さんはどんな一年だったでしょうか?

2018年は、オーストラリア留学からの帰国後、模索し続けた年でした。
2017年の漢字は、外の世界へ飛び出す、の意味で「出」を選んだけれど、
今年のを選ぶとしたら、「溜」。

人は、いつも前進・成長し続けられるわけでなく、停滞する時もある。
動きたくとも、どうしても動き始められない時もある。
そんな、「溜め」の時期。

海外留学という、ある意味、日本の現実・環境と「分断」されることで、何のしがらみもなく、一分一秒でも味わいつくそうと自分の好きな事・チャレンジしたいことに邁進した一年間。
その後、帰国して待っていたのは「現実」でした。

留学最中にできると思っていたことを、日本で「仕事」として実現するには、自分が未熟であったということ、
自分も30歳という節目を迎えること、両親も還暦近くなり、もう若くはないということ、
大好きな祖母の認知症が思ったより進みが早くなっていたこと、
妹や、同級生の女の子たちがどんどん結婚していくこと…

竜宮城から帰って来た浦島太郎のごとく、内的・外的要因でバシバシとダメージをくらい、留学で得たと思っていた「自信」は完全に吹っ飛び、こんなしんどい思いをすると見えていたなら留学しなかったのにとか、自分は何がしたかった・したいのか、この先いいことなんてあるのだろうかと、ひたすら地を這うような低空飛行を続け、そのうち、「悩み続けていることに悩み続けてしまう」という入れ子構造で、まるでゴッホの筆致ばりのグルグルした日々が続きました。これまで「努力すれば手に入る」という体験ばかりを積み重ね、(おそらくは)それなりに順当に来た人生の中で、初めての「挫折」を経験したのかもしれません。

オーストラリアにいた頃は、連日朝5時台から自転車に乗る元気があったのに、帰国後は(平日こそフルタイムで働いているものの)週末、一人になると昼頃までベッドから出られず、何もやる気が湧かず、起きてもソファーでぽーっとしてしまうことも。「あの時のは私はどこへ?」と自分でも人が変わったように感じました。

楽しい旅行に、美味しいグルメ、結婚報告、子供の成長…そんな「リア充」に溢れたSNSの世界の中に、自分の現状をさらすのが怖くて、情けなくて、ブログを書くのも億劫になってしまい、書けない自分に、ますますふさぎ込んでしまうという悪循環。

それでも自転車レースや自転車旅に誘い出してくれた仲間。
地元での食事や日帰り温泉に行ってくれた幼なじみたち。
毎日毎日、堂々巡りを繰り返す私の話を、懲りずに話を聞いてくれた母親、パートナー、先輩。

ようやくブログを再開できたのは、帰国から実に9ヵ月後、11月のこと。
「お帰りなさい」とWeb上で温かく迎えてくれた方たち。
思い切って書いてみて、本当によかった。

そうやって励ましていただいたおかげでエネルギーを徐々に取り戻し始め、12月、東京オリンピックのボランティアや観光局の善意通訳者、地元のボランティアガイド団体に登録。通信教育講座で、来年秋に向けて新しい資格試験の勉強も始めました。

いつも前進すること、成長し続けること、イケイケドンドン!な自分しか肯定できなかったけれど、人間、必ずしもずっと同じスピードで生きていけるわけじゃないみたい
再び動き出すためには、じっと動かずに蓄える、「溜め」の時期も必要なのかもしれません。

皆が「個」として存在し、我が道の生き方をそれぞれ行くように感じられていたオーストラリアと異なり、特に結婚・出産について言えば、日本にいると、「一般的・大多数のパターン」は存在するわけで。学生時代の就職活動中に「○○ちゃん内定決まったの?え、どこ?」「私はまだだ、どうしよう…大丈夫なのかな…」みたいな焦燥感は存在します。祖父母や両親を見ながら、「自分もこのままでは猛スピードで40歳を迎えるのでは?」という「老い」への怖さもあります。

それでも、焦りに負けず、型にとらわれず、「今ある幸せ」を見つけ、自分にとっての「これからの幸せ」を考えるということ。極端に言うと、「『自分の人生』を諦めない」ということなのかな、大切なのは。

「どんな場所に居ても、落ちても、想いの種さえ有ればまた闘えるってこと。」

親友がこんな言葉をくれました。過去を乗り越え、日本一のバーテンダーに輝き、今年はNY、香港と世界で活躍してきた彼だからこそ、言えること。

何かが大きく前進したわけではないけれど、その前段階としての「溜」の一年だったと思いたい。何より、この時間を経たことで、この先前よりも人の痛みをわかり、寄り添える人間になっていけたら、それはとても深く、意義のある時間だったはず。

2018年もブログで、リアルで、お付き合いくださり、励ましていただきありがとうございました!
みなさんの「想いの種」が芽生える2019年が来ますように。

Words can bring you down, but words can also save you.
Keep on writing, and being true to yourself.
Ayaka